フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか|書評

  • 2022年3月25日
  • 2022年5月9日
  • 読書
  • 3View
  • 9件

フィンランドでの生活経験がある著者が、仕事や考え方や文化について、フィンランドの特徴を日本と比較しながら述べている一冊。二つだけピックアップ。

安定

序盤に出てくる言葉。著者の知り合いのフィンランド人に、フィンランドが幸福度世界一である理由を聞いたときに「安定」と答えたらしい。どんな環境で生まれても教育や福祉が平等に与えられる。その安心感から、安定という言葉を使ったらしい。

しかし、この本でのちに述べられるように、雇用に関しては日本より流動的で、解雇されることも多いらしい。日本的な感性で言うと、不安定だと言いたくなりそうだ。ただ、フィンランドの会社員は活発にいろいろなことを学び続けるモチベーションがあり、会社もそれをよしとする文化があるらしい。だから、解雇されたとしても、そのような学びに助けられ次の雇用先が決まるケースが多いらしい。解雇された後大学などで数年学んでから別の職種に移ることもあるようだ。

このような状況を「安定」と呼べるのはなぜだろう。

おそらく、「解雇はされやすいが落ちた先のセーフティーネットが高いこと」という意味で「安定」という言葉を使ったのではないと思う。そもそも解雇=落ちることという認識があまりないのではないか。「解雇というアクシデントがありつつも、自分の思う方向に自由に学びを進められ、新たな生活を手に入れることができること」、その基盤があるということを「安定」という言葉で表現した気がする。

シス

シスとは、フィンランド語で、困難に耐えうる力、努力してあきらめずにやり遂げる力、不屈の精神、ガッツという意味がある。著者の友人は、「シスは灰色の岩を打ち破ってまでも何かをなし遂げたいという強い気持ち」と言ったらしい。

日本語の「頑張る」に近いらしいが、少しニュアンスが違うところもあるようだ。シスは誰かに強制されるものではない。自分がそうしたいからそうする。他人の期待のためだけにやるのとも違う。そういうものらしい。

「シス」したいですね~。自分にとっては自転車であり、筋トレであり、物理の勉強なんですよね。

NO IMAGE
最新情報をチェックしよう!