星新一さんの本初めて読んだ。一個一個がかなり短いお話(3-5ページくらい?)ですいすいと読み進められた。
現実にはありもしない薬とかロボットとかがでてきてドラえもん的なわくわく感も満載。ただ、最後はくすっと笑えたりチクっと刺されたりする。短いだけに軽やかにシニカルで心地よかったが、現実世界についてちょっと考えさせるような後味を残していくところが面白かった。友達と読んで議論したら面白そうかもしれない。
読みながら少し妄想したこと
ロボットがよく出てくるということでロボットと人間との違いが浮き彫りになっているような気がした。少し本の内容からはずれるかもしれないが少しだけ書いておく。
基本的にロボットは「望ましいと考えられる機能」だけを満たすために設計され、つくられる。なので、その機能に対しては「完璧に(人間よりよく)」動作する。
例えば、商品の梱包をするロボットは、中の商品を入れ間違えたり、梱包の仕方が雑だったりはしない。人間は途中で休憩や睡眠が必要だが、ロボットには必要ない。前日に彼女に振られたことを気にもんで作業が遅くなるようなこともない。
一見すると、人間から「あく」を取り除いてやりたい機能の精度を極限まで高めたものがロボットだ、という見方もできそうである。
この「あく」とは、社会が(短期的に)求めているものに必要ないものかもしれない。
例えば、学校の先生が目指す生徒像にはみ出たものをどんどん殺していく、会社的に利益にならないことがオフィスでどんどんやりずらくなる、みたいなことも「あく消し」(=消毒)だととらえることもできそうだ。なにかしら失敗しているような気がするが…
求められていることだけやればよい、それ以外の邪念はいらないから捨てて、あたかもロボットのようにやりましょう、みたいな恐ろしい考えも、倫理的観念を取り払えば、短期的目標を効率よく達成する目標の下では正当化できなくもない。将来的に、出社したらすぐ、「仕事」に関係ないことを考えられなくなるような薬で「消毒」してからみんな仕事に取り掛かる、みたいなディストピアつながる。
倫理的な反論だけでなく、この「あく」が豊かさなのだという反論をできるようになりたいですね。ダイバージェンス&インクルージョンにもつながりそうですし。