幸福な食卓|書評

  • 2023年7月25日
  • 2023年7月25日
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「そして、バトンは渡された」に続き瀬尾さんの本二冊目。「幸福な食卓」というなんとも柔らかで穏やかそうなタイトルだが、そんなことはなかった。基本的に一つの家族を描いているが、登場人物に誰一人「普通」の人はおらず、かなりキャラ立ちしていた。

父さんをやめると言い出す父、離れて暮らしながらも料理だけ作りにやってくる母、成績優秀だが急に高校を出て農業を始めた兄。

様々な出来事が起こり、退屈せずスピード感持って読み終えることができた。

幸福

タイトルと内容のギャップは、やはり自分が思っている「幸福」の窮屈さなのだと思った。どちらかというと、無意識のうちに幸福とは「安定」「秩序」「完璧」「調和」と強く結びつくようなイメージを持っていた。

ただ、読み進めているうちに、そういうものと離れたところにある「幸福」を提示された気がした。この本の中の世界は、癖の強い家族のメンバーが自由に動いてかなり無秩序で、しっちゃかめっちゃかだけど、しっかりと幸福であった。

父さんは、真剣ささえ捨てることができたら、困難は軽減できたのにって書いてた

瀬尾まいこ『幸福な食卓』(講談社、2007)

やっぱりお行儀の悪い「幸福」を提示してくるな~

食卓

タイトル通り、みんなで一緒にご飯を食べる場面が何度か出てくる。やっぱり何かを一緒に食べるって、人間関係においてものすごく重要なイベントなのかな。

町田そのこさんの「宙ごはん」しかり、ドラマの「安藤ロイド」にもそんな描写があったような…

感想

瀬尾さんの描く家族って、一般離れして前時代的な温かさは感じないんだけど、激しさの中にもしっかりと先進的な温かさが詰まっている感じがして好き。多様性多様性といわれているけど、ここまできれいに心地よく水平線を伸ばしてくれるのはお見事!って感じた。

また瀬尾さんの本読んでみようかな~

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